調理器具の拭き取り検査の結果を判断する菌数の基準があれば教えてください。


厨房室内の調理器具や調理機械、及び床等における菌数(一般生菌、大腸菌、サルモネラ菌、O157等)の基準及び規制は、国のレベルにおいては存在しません。では、拭き取り検査を行なう意味は何処にあるかというと、それは、厨房の衛生状態をサンプリングして問題を発見し、どこに重点をおいて洗浄・消毒を行なったら良いか?という衛生改善計画の指標として使うところに意味があります。よって、機器等の衛生状態をどのレベル(菌数)まで改善させるかという基準は、各事業所にてされているのが現状のようです。そして、そのレベルの設定は、その厨房で調理される食品の種類によります。

食品には、食品衛生法による成分規格で菌数がいくつ以下と定まっているものがあります。例えば、牛乳・アイスクリームなど乳製品・食肉製品・魚肉練り製品など…。これらは、保健所の検査で基準を超えていると日本全国どこの保健所でも販売禁止や廃棄処分を行います。各自治体が、衛生的な食品の取扱いを目標とするために定めた指導基準がありますが、これは自治体によって目標とする値が違います。

  東京都の場合:カット野菜については、平成元年6月1日付で、暫定指導基準として、細菌数100万/g以下、大腸菌:陰性、黄色ブドウ球菌:陰性、サルモネラ属菌陰性、という基準が示されました。この基準が作られた背景には、昭和60年頃からカット野菜が簡便かつ経済的であることから、急速に普及してきましたが、カット野菜は生食することから一定の衛生上の品質が要求され、その安全性が問われていました。そこで東京都では、昭和62年度にカット野菜の細菌汚染実態調査及び保存試験等の調査を行い、この調査結果から暫定的に営業者等に対する指導等を行う細菌の基準を定めたものです。

では、サラダ等未加熱惣菜、加熱済惣菜・弁当類、調理パンの基準は如何かと言いますと、 平成12年度東京都夏季対策における指導基準は、

 <未加熱惣菜(生野菜等が入っている惣菜)の場合>細菌数100万/g以下、大腸菌群3,000/g以下、大腸菌陰性、黄色ブドウ球菌陰性、サルモネラ属菌陰性

 <加熱済惣菜・弁当類の場合>細菌数10万/g以下、大腸菌群1,000/g以下、大腸菌陰性、黄色ブドウ球菌陰性、サルモネラ属菌陰性

 <調理パン(サンドイッチを含む)の場合>細菌数100万/g以下、大腸菌群1,000/g以下、大腸菌陰性、黄色ブドウ球菌陰性、サルモネラ属菌陰性 となっています。

以上の値を見ますと、加熱済惣菜より未加熱惣菜の方が菌数が多くなっているのがお分かりいただけると思います。この基準内ですと「良」、この基準をオーバーしますと「不良」という判定になります。しかし、指導基準ですので、販売禁止とか廃棄処分等は行われません。何故、菌が出たのか検討していただき、菌量を減らすための努力をしなければなりません。器具・容器などの洗浄消毒、製造方法のチェック(温度と時間等)、保管温度チェック等、一般的衛生管理やHACCPによる重要管理点がしっかりとなされているかを確認して製造して、製品の再検査をし、食中毒の未然防止を行います。食中毒が発生した施設では、食品からも拭き取りからも食中毒原因菌が多数検出されることがよくあります。その意味でも拭き取り検査(自主検査)は重要になってきます。